味噌、たまりについて

みその話

江戸時代の代表的な食の解説書「本朝食鑑」の
「みそ」の項目にこう記されています。

・「腹中をくつろげ、血を活かし、百薬の毒を排出する」
・「胃に入って消化を助け、元気を運び、血の巡りをよくする」
・「痛みを鎮めて、より食欲を引き出してくれる」
・「嘔吐をおさえ、腹下しを止める」
・「髪を黒くし、皮膚を潤す」

そう、「みそ」はまさに万能薬のように食されてきました。
昔から日本人は感覚的にその良さに気づき、
生活に取り入れてきたのです。

そして現代、
先人が感覚的に捉えてきたことを、
科学が一つずつ解き明かそうと、
みその研究が進められています。

みそのすばらしさに目を向ければ、
健康のために積極的に取り入れていきたい食品です。

こんなにたくさん!みその栄養成分

みその栄養の中心は、主原料である大豆の栄養です。

大豆には良質な植物性タンパク質が多く含まれており、
みそはこの栄養に加え、
醗酵させることで大豆にはないアミノ酸やビタミンが豊富に生成されます。
酸素によって加水分散された大豆のタンパク質の中には、
生命維持に不可欠な8種類全ての必須アミノ酸が含まれています。

その他にも炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など多くの栄養素を含んでおり、
一つの食品で、これほど多くの栄養を含む食品は他にはありません。

東海地方のたまりについて

この地方では第二次世界大戦当時まで、
「たまり味噌」と呼ぶ豆味噌をつくっていました。
熟成後もろみの表面や桶底にたまった汁を
「たまり」と称して醤油のように用い、残ったものを味噌として食べていました。

この「たまり」は濃厚で良品でしたが量が少ないので、
工業製品とするには別に、
抜いた後再び「たまり味噌」に塩と水を加えて1ヶ月ほどおき、液汁を抜く「素引き(すびき)溜り」や、
たまりを抜いた残りに塩水を混ぜて煮出した「にいら溜り」も作られていました。

一方、八丁味噌と同様に、仕込み水の少ない豆味噌の製法が確立され、
昭和に入るとこの溜まりを採らない「2分半味噌」が風味豊かで喜ばれて普及し、
消費の大半を占めるようになるとともに、
第二次大戦中の味噌、しょうゆの統制により、豆味噌から溜まりを採ることが禁止されて以来、
豆味噌と溜まりは製法上から別々のものとして流通することになります。
その結果、従来の「素引き(すびき)溜り」と「にいら溜り」は姿を消し、
「たまり味噌」はわずかに農村部において消費されるだけになりました。

現在の溜まりは、工業的に引き分け法で液汁を採り、
さらに残ったもろみを圧搾して大量に採る製法で、
これを「生引き(きびき)溜り」と呼んでいます。
この「生引き溜り」はニーズに応じて多様化し、本来たまりの穀物原料は大豆のみですが、
しょうゆのように少量の小麦を混ぜたものや、
仕込み水が多いもの、
さらには加熱処理後にアルコール添加したものなどがあります。

製造工程

  • 1、大豆麹の投入
  • 原料となる大豆麹を投入します
  • 2、塩水の投入
  • 塩水を投入します
  • 3、重石を載せる
  • 布を被せ、その上から重石を載せていきます

この後、3~7年寝かせることで、
味噌、たまりが出来上がります!